大腸CTのよく言われる欠点についての個人的見解

今日は少しこれについて書きたいと思います。
内視鏡と比較した際に、大腸CTの欠点としてよく言われるのが以下の3つです。
①放射線被ばくの問題 ②ポリープ取れない ③平坦型病変の診断能が低い
これにについて書いていきたいと思います。

①放射線被ばく
CTはX線を使用すため被ばくはあります。ただ、向きを変えて2回は撮影をするため被ばく量も多いかと考えるかもしれませんが、各種CTメーカーの努力や、撮影法の進歩(線量を落としても画質が落ちないようにする)などにより線量はだいぶ減り、実際は通常の腹部CTとほとんど線量はかわりません。少なくとも人体に影響がでるレベルの線量では全くありません。妊娠中などはもちろん無理ですが、そうでなければ全く問題ないと思います。数年に一度くらいの大腸CTを、被ばくを理由に避けるのは、ナンセンスと思います。

②ポリープ取れない
カメラ入れないので、ポリープは当然とれません。ただそもそも、内視鏡と比較するからこういう話になるわけであり欠点というのはかわいそうです。
なお、”ポリープがあったらとってほしい、1回で済ませてほしいから最初から内視鏡”と内視鏡を選択されることも多いですが、ポリープがたくさんあったり大きかったり、出血のリスクが高いポリープだったり、がんの可能性が高く正確な診断のためきちんと切除する必要があるような病変だったりした場合はポリープ切除は改めてすることも多いです。定期的に内視鏡を受けておられ、内視鏡が特に苦でもなく、小さなポリープが毎回見つかってその場でとっておられる方は、大きな病変が見つかることも少ないので内視鏡でよいと思います。
あとは、何歳になってもポリープを本当にとる必要があるのか、ということも考える必要があります。

③平坦型病変の診断能が低い
ポリープというとキノコみたいなのをイメージするかと思いますが、そうではなく、平べったいポリープもあります。そしてそういった平べったいポリープの診断能が低いことが言われています。以前働いていた病院でデータをとった時もやはり平坦型の病変の診断能は若干低いという結果でした(進行がんの診断制度は100%、きのこみたいなポリープの診断能もほぼ100%sでしたが、平坦型のポリープの診断能は70%台でした)。そして実際がんの観点から要注意のポリープは、平坦型の病変なんですね(平坦型病変も実はいろいろあるのですが、長くなるので省略します)。
こういったポリープはさほど多いわけではないと思いますが、どうせ検査するならきちんとこれらの病変も見つけた方がいいと考えています。
比較的お若い方で、特に大きな病気もない方の場合は、大腸CTより内視鏡を薦めることが多いのですが、その一番の理由はこれかと思います。ただ実際、きのこみたいなポリープに比べると内視鏡でも診断が難しいです。内視鏡の性能がいまいち(拡大観察機能や、特殊光観察ができない)なカメラではおそらく診断はできません。ちなみに当院の内視鏡は、こういった機能は搭載しており大丈夫です。
ただし。大腸CTが平坦型病変の診断能が低いとはいえ、その病変ががんになり少し大きくなると平坦の病変の一部が盛り上がっていたりで、なんだかんだで診断できることも多いことも触れておきます。見つけれられないのは高さが1mmにも満たないような小さながんにほぼ限ります。

ということで、大腸CTの弱点は、平坦型病変の診断能が低い、という話でした。

飛鳥井香紀

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