胃カメラは、鼻?口?麻酔?

今日は胃カメラについて書きたいと思います。

胃カメラは、上部消化管内視鏡検査のことです。 胃カメラとは言いますが、食道や十二指腸も観察します。
以前は、鎮静剤(麻酔)なしでの口からの内視鏡しかなく、それもかなり太かったこともあり苦しいイメージの検査でしたが、最近は鎮静剤を使ったり、鼻からのカメラをしたりと楽に受けれるような方法がいろいろ出てきています。どの方法で受けるのがいいのでしょうか?

決めるには当たっては、胃の状況と患者さんの希望を踏まえ、それぞれの検査の特徴を踏まえてどの方法いいかを決めることになります。
胃の状況とは、ピロリ菌による影響のことです。ピロリによってどれくらい胃があれているのか、またピロリがいるのかいないのか、前にいたのか、などです。ピロリの状況でがんのリスクが変わるんですね。
またそれぞれの検査の特徴は、
・経鼻内視鏡(直径6mm弱):細いので比較的楽。鼻からなので嘔吐反射が少ない。内視鏡画面見ながらお話。のどの観察が経口内視鏡と比べると圧倒的にできる。画質は経口内視鏡に劣る。
・経口内視鏡(直径約9mm):拡大機能がある(見えているものを顕微鏡のように拡大観察してがんかどうかを判断することができる。)がんの内視鏡診断に必須。
・鎮静内視鏡(経口):点滴で麻酔薬を使って眠る、もしくはぼんやりで楽にやれる。麻酔による合併症の危険がある。
といったところでしょうか。

当院でどのように検査を薦めるかというと、基本的には経鼻内視鏡(原則鎮静剤は使用しません)をお薦めしています。以前の経鼻内視鏡検査の画質はあまりよくありませんでしたが、近年かなり改善されており異常がないかどうかや、ピロリの状況はどうか、などをみるには十分な機能を持っています。また、のどの観察ができることや、比較的楽にできるため意思の疎通がとりやすい(途中観察に際し深呼吸をしてもらった方がいい場面があります。鎮静剤を使用するとできません)ことも大きいです。
経口内視鏡を使用する場合は、詳細な観察が必要(前回の検査で、がんの可能性が否定できない病変があったなど)な場合となります。生検(組織をとってがんかどうか顕微鏡でみる検査)は、一部を採取するだけなので、本当はがんであったとしても診断がつかないことも多々あります。がんが疑わしい病変があった場合はしっかりとした内視鏡診断を行い、異常ないならその証拠を、異常があるならその診断を、内視鏡的にするのが必須です。経鼻内視鏡には拡大観察機能がついていないため限界があります。なお、経口内視鏡は原則鎮静剤を使用しています。

鎮静剤に関してです。
希望時には行っています。また、最近御高名な先生が少量の鎮静剤で経鼻内視鏡を口から挿入する、というやり方をおっしゃっていましたのでそのやり方も導入しています。
ただ、上にも書きましたが鎮静なしの方がきれいに画像が取れることが多いので一旦は鎮静なしの経鼻内視鏡を薦めています。

経鼻内視鏡検査を軸に、お話しして方法を決める、といった感じでしょうか。
あと最後に。患者さんからも経鼻内視鏡検査が楽だったと言われることもよくあります(言われるとうれしいのでそんな気がしているだけかもしれません。。)が、検査が楽かどうかは内視鏡の技術と同等かそれ以上に検査前の鼻の麻酔であったり、検査中の看護師さんの声かけだったりが大切と長年胃カメラをやってきてずっと思っていますが、その点当院では自信をもって提供できるかと思います。
ということで、胃カメラをぜひ受けてもらえればと思います。
どのような方が受けた方がいいかとか、何歳から、などはまたそのうち書きたいと思います。最後までご高覧いただきありがとうございました。

副院長 飛鳥井香紀

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