大腸がん検診に関しての注意点。検便だけでいいのか?

今日は大腸がん検診に関して少し注意した方がいいことを書こうと思います。

大腸がん検診は、通常便潜血検査が行われます。便を2回提出し、わずかに含まれているかもしれない血液を検出する検査です。大腸がんからわずかに出ている血液(見た目ではわからないレベル)を拾い上げる検査です。検査で引っかかった方は、2次検査として大腸内視鏡(当院では大腸CTも)が推奨されますが、3%くらいの方にがんが、50%くらいの方にポリープ(良性腫瘍)が見つかります。
これにより、がんを症状のない早期の段階で発見できる可能性があります。早期発見、早期治療で根治すれば、大腸がん検診を受けて良かった、となります。

さて一方で、便潜血検査で異常なしだった場合はどうでしょうか。
大腸がん検診問題なし、また来年受けてください、となります。

あまり問題はなさそうに見えますね。
ところで、話は変わって、大腸内視鏡検査を受けたあとの話に移ります。

大腸内視鏡検査を受けたことのある方ならわかるかと思いますが、検査を受けて、結果がどうであれ、ほぼ確実に次回いつ頃検査を受けてください、と言われます。ここでいう検査は、便潜血検査ではなくもちろん大腸内視鏡検査です。また実際2020年の消化器内視鏡学会のガイドラインでも、ポリープをとった方の場合は大体3年後、異常なしの方でも5年後くらいに内視鏡を受けることが推奨されております。

より精密な検査(内視鏡検査)で異常なかった方には、次いつ頃内視鏡を受けましょう、と言われ、一方でそれほど精密でない検査(便潜血検査)で異常なしの方には、内視鏡の提示にはされない、といったおかしな状況が結構起きている、というのが実際のところかと思います。もちろん、大腸内視鏡検査は、検診レベルで考えると負担が大きいので、避けられがち、ということもあるでしょうが。。
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最後に、大腸がん検診がなぜ内視鏡ではなく便潜血検査なのか。
胃がん検診では、胃カメラ(場合によってはバリウム検査。あまり推奨しませんが。。)をするのに、大腸がん検診では大腸カメラでないのか。それは、検査する側(医師側)のキャパシティの問題と思われます。大腸カメラそのものが、胃カメラより挿入などの技術がいることもありますが、そもそも検査時間(前処置から検査、場合によってはポリープ切除など)も長く、胃カメラと同じようには件数こなせない(大腸カメラ1人する時間で大体胃カメラ3人くらいでしょうか)ということが挙げられます。現実的に、ある年齢を過ぎたら全員大腸内視鏡、とは国民全体で考えるとできないのです。そのため、ある程度簡単な方法で、高リスク群を見つけその群だけに精密検査行う、というのが便潜血陽性検査です。
便潜血検査で、早期がんの50%、進行がんの10%は見逃されます。結構怖いですよね。自分や、家族であったら、便潜血検査だけって怖いと思います。
一方で、早期がんの50%、進行がんは90%も、こんな簡単な検査で見つけれる、という見方もできます。進行大腸がんが100人いたとして、90人見つけて助かったよ、死亡率下がってよかった(残りの10人は。。)。

死亡率の下がったデータをみればいい検査と思うかもしれませんが、目の前の一人ひとりに何を薦めるかとしたら間違いなく内視鏡(当院は大腸CTも)です。実際に私自身、今まで便潜血検査を薦めたことは一度もありません。大腸内視鏡検査を受けたことがない方に、便潜血陰性でした、大腸がんありません大丈夫です、とはとても言えないです。。

あまりまとまりのない文章ですが、読んでいただきありがとうございました。

副院長

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