大腸CT検査は、かなり簡単にまとめると、前処置で便を出してから腸を膨らませてCTを取って診断する検査です。内視鏡であれば、便と病変の区別は一目瞭然ですが、大腸CT検査の場合は直接見れるわけではないため、便なのか病変なのかが分からないこともあるため、検査の前処置で大腸の中をからっぽにするのが理想です。なのに、内視鏡に比べて検査前の腸管洗浄液の量がかなり少なくやっています。内視鏡と比べて大腸CTが楽である一つのポイントになるわけですが、精度は大丈夫なのか。
“内視鏡検査のように、腸管洗浄液たくさん飲んでやればいいのでは?“
実は、たくさん飲んだ場合、便は結構なくなりますが、かわりに腸管の中に液体がたくさん残っているので、実はあまり検査にならなかったりします(内視鏡検査であれば残っている液体を吸ってしまえばいいのですが。)ポリープ等があっても液体が多すぎて沈んでいるとわかりません。
そういったこともあり、検査の際に、大腸内に液体があまり残らないようにする、かつ便も比較的残らないようにする、というのを両立させ、精度も確保する必要があります。当院では、腸管洗浄液の量はかなり少なくし(150cc)、下記にも書いていますがタギングや体位変換を用いて検査をする方法でやっております(比較的一般的かと思います)。
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<診断および、正確な診断をするためのテクニック>
① 造影剤(コロンフォート)によるタギング(マーキング)
前日に3食検査食を食べてもらいますが、食後に30ccほどの造影剤を飲んでもらいます。これにより、食事と造影剤が混ざり、CTを取った時に光って見えるようになります(タギング)。腸管内になにか写っていた場合、光っているか否かで、便か病変(ポリープなど)かを鑑別します。なお検査食は、造影剤と混ざりやすくなるように工夫された大腸CT専用のものを使用しています。
② 体位変換
2体位以上の撮影を行います。腸管内に何かあった場合、2体位を比較して違う部分にあった場合は、動いているということで残渣疑いです。一方動いていない場合は、なんらかの病変(ポリープなど)を考えます。
③撮影技術
撮影は技師が行うので医師には関わらないところですが、撮影技術は極めて重要です。通常、仰向けとうつ伏せの2体位を行いますが(体位変換)、人によっては、どちらの体位でもあまり腸管が膨らんでいなかったり、便がたまっていたりで診断にならない部分があったりすることもしばしばあります。あまり慣れていない方が撮影するとこれで検査終了となり一部診断不十分となってしまいますが、当院では、撮影中に膨らんでいない部分などを速やかに判断して、そこがしっかりうつるような体位での撮影を追加で行うので、見えていない部分はほとんどない画像を作成しています。
④ 仮想内視鏡像でのイメージ 内視鏡医の目線での読影
造影剤を使うことや、体位変換は基本的に撮影から読影の基本とされています。そして良い撮影を行っても判断に迷う時もあります。その時は、CTCの仮想内視鏡像(CT画像を立体的に3次元再構築し、まるで内視鏡画像のように作成したもの)にて、実際にポリープをイメージできる病変かどうかを、内視鏡医の目線で読んでいます。CTで一部光って見えて残便と思われるものでも、見た目が内視鏡でイメージできる形の場合は、病変疑いとしてひっかけることもあります。
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大腸CTの撮影と前処置について簡単にまとめました。
検査を考えている方がいましたら参考になれば幸いです。