当院での検査に係る内容も多く、先週末参加してきました。
大腸CT(CTC)に関しては、主に放射線技師の発表が多かったのですが、放射線被ばくを減らすためにはどうしたらよいか、といった内容が主でした。
CT装置に関連した撮影技術的な話が多く、医師からすると難しい内容でしたが、被ばくを低減するのは大事でありいろいろ勉強になりました。
さてここからはCTCに関しての被ばく量に対する私の考えになりますが、
被ばくを減らすために放射線量を減らすと、画質が荒くなります。すると診断能が下がることが予想されます。
どこまで線量を減らせるか、ですが、、
かなり減らしている施設もありましたが(通常の腹部CTの1/4程度)、あまり減らすと腸管もがたがた(でこぼこ)になり、小さな病変や平坦な病変の診断はかなり難しいと思いました。(現時点でさえ、大腸CTにおける平坦な病変の診断能が、内視鏡と比べるとやや悪いことが言われているのに、さらに診断能が下がるのはちょっと。。。)
また、がたがたの腸管の場合、読影(診断)にもかなりの時間がかかります。腸管外の診断能もかなり下がると思います。
大腸CTでは腸管外の読影もしますが、読影可能なレベルの画質は必要と思います。また腸管内の病変も、有るか無いかだけではなく、あった場合にどのような病変でどういう対応が必要なのか、が分かる必要があると考えています。そのため必要以上に線量を下げるとそういった判断ができる画像では無くなってしまう可能性が高く、メリットに比べてデメリットが多く望ましくないと考えています(内視鏡医の目線です)。大腸の病変は、形と大きさごとに、がんの可能性はどれくらいか、また癌だったらどれくらい深くまで浸潤している可能性が高いか、などをまとめた報告は多数あります。これらの報告を踏まえて大腸CTでの病変もみると、ある程度は病変がどのようなものか予想ができます(内視鏡医の目線です)。
こういったことを考えることができる画質は必要であり、当院では現時点では通常の腹部CTと同程度の線量で行っています。(それでも決して多いわけではありません)
大腸CTを行って、何か病変が見つかった際に、
”ポリープがありそうです、でも詳細は分からないのでとりあえず内視鏡しましょう”
というより、
”ポリープがありました、小さいですが、一部凹んでいるようにみえるので癌かもしれません。癌だったとしてもこの大きさなら現時点で内視鏡的に治癒切除可能病変と思いますが、実際に内視鏡を行い特殊光や拡大観察などによる診断を行い判断したいと思います”
の方がスマートですよね。
ただ、一定頻度で、上段のような説明しかできない場合もありますが(残っている便が多い時など)、できる限り詳細なお話をしたいといつも考えています。
話は少しそれてしまいましたが(あまりまとまりのない内容ですみません)、大腸CTに関する学会発表では、会ごとに、消化器内科医目線の発表、放射線科医目線の発表、放射線技師目線の発表で、それぞれ趣向が異なり、また一般臨床なのか検診なのかでも内容がかなり変わるのが面白いところです。私が今まで発表してきた内容や、参加して聞いてきた内容とここまで変わるのか、といった印象でした。いつもと違う内容で非常に有意義でした。
副院長