胃カメラは何歳になったら受けるといいのか?

胃カメラは何歳から受けるといいでしょうか?

胃カメラは、食道や十二指腸も観察をしますが、がん検診の観点からはその頻度から基本的には胃がんの早期発見のための検査と位置付けられています。
横浜市の胃がん内視鏡健診だと50歳以上が対象となっています。また私が昨年度まで私が働いていた名古屋市でも50歳以上が対象でした。
50歳を超えてくると胃がんの罹患率が増えてくるからということもあり、50歳以上が対象となっているかと思われます。
胃がんの罹患率が極めて低い10-20歳代でやっても、ほとんど胃がんは見つからず、胃カメラによるがんの早期発見という意味ではあまり効果的ではないですよね。
ただ、これはあくまで2次予防(早期発見 早期治療)の観点からの話となります。

2次予防と同じくらい大切なのは、1次予防、すなわち発生要因を取り除くこと、があります。
胃がんに関しては、発生要因がほぼピロリ菌感染ということが分かっており、このピロリ菌をどうにかすることが1次予防となります。
ピロリ菌がいなければ胃がんにはほとんどならないし、いれば除菌治療することでがんのリスクが減ると考えられています。

1次予防の点から考えるとどうすると良いでしょうか。(若干胃カメラから話が逸れていますが。。)
ピロリ菌は、幼少期の頃に井戸水などを介して感染すると言われています。それが長年胃に住み着いて胃粘膜に炎症を起こし、萎縮という変化を起こし(萎縮性胃炎)、胃がんができやすい環境となります。
ピロリ除菌が、胃がんのリスクを下げることが言われていますが、すでにピロリによって胃がかなり高度に萎縮をきたしているような場合には、除菌してもあまりがんのリスクを下げる効果はないこともいわれており、萎縮のあまりないうちに除菌するほうが、がんのリスクを減らすことができると考えられています。

50歳代ですと、胃カメラでみると萎縮がかなり進んでいる方もおられます。そういった方は、胃がんがその時点でなかったとして、ピロリ除菌をしたとしても、胃がんの高リスクの胃であり定期的な胃カメラが(胃がんの早期発見のため)必要になります。そういったことを考えると、若いうちにピロリ除菌をしておけば、、という考えにもなります。(それでも定期的にカメラをすれば、たとえ胃がんができても内視鏡的切除で済むような状況で見つかることがほとんです)

こういったこともあり、私は30歳になったら胃カメラをすることをお勧めしています。これくらいの年齢ですと、ピロリ感染があったとしても萎縮がほとんどなかったり、あっても狭い範囲だったりで、ピロリ除菌すると胃がんのリスクはかなり減ると考えられます。(本当はもっと若くてもいいかもですけど、辛いですよね。。)また症状がある場合は、20代でも受けた方がいいと考えます(ピロリ胃炎は診断が早ければ早いほどいいので)。
なお、一部の自治体では、中学生でピロリ検査をして、いる場合は除菌治療をする試みもされています。中学生だと胃がんはほぼないので、胃カメラなしでピロリ除菌してしまうんですね(大人の場合は、胃がんのチェックも必要なので胃カメラは必須ですし、胃カメラなしでのピロリ検査は保険でもみとめられていません)。結構理にかなっているとは思います。

以上 胃カメラの開始年齢について書いてみました。

飛鳥井香紀

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